女優の吉行和子さんは、90歳で惜しまれつつこの世を去りました。
突然の訃報に「持病はあったのか？」「どうして肺炎で亡くなったのか」と疑問を持った方も多いでしょう。
注目すべきは、その年齢まで大きな持病もなく、最後まで現役として活動を続けていたこと。
そして、彼女の生活スタイルは、まさに“自分らしい生き方”を貫いたものでした。
結婚せず、誰かと一緒に暮らすこともなく、料理や家事をほとんどしない。
それでも心豊かに過ごす──その生き方は、現代を生きる私たちに多くのヒントを与えてくれます。
吉行和子 プロフィール
名前：吉行 和子（よしゆき かずこ）
生年月日：1935年8月9日
出身地：東京都
職業：女優
家族：母（美容師の吉行あぐり）兄（作家の吉行淳之介）姉（詩人の吉行理恵）
結婚：28歳で劇団関係者と結婚するも、約4年で離婚。子どもはいない
1955年、東宝ニューフェイスに合格し芸能界入り。
その後、映画やドラマ、舞台で幅広く活躍し、上品で落ち着いた雰囲気から幅広い世代に親しまれました。
代表作には、映画『雁の寺』『女のみづうみ』、ドラマ『徹子の部屋』の常連ゲストとしての存在感などがあります。
晩年まで舞台に立ち、90歳直前まで現役女優として活動を続けました。
「人と暮らせない」と語った独自の生き方
吉行和子さんは、インタビューでこう語っていました。
「私は人と一緒に暮らすのは向いていないの。だから、ひとりでいる時間を大切にしているのよ」
短い結婚生活から「おひとりさま」への転換
吉行和子さんは28歳のときに一度結婚しました。
お相手は劇団関係者で、演劇という共通の世界でつながった縁でしたが、結婚生活は約4年ほどで終わり、離婚を選択します。
結婚を一度経験したうえで、ひとりで生きることを選び、自分らしい生き方を楽しむ姿勢を貫きました。
子どもはいなかったこともあり、その後は一人で生きていく道を歩み始めました。
吉行和子さん自身、「人と暮らすのは向いていない」と感じるようになったのも、この結婚生活の経験が大きかったといわれています。
それ以降、結婚をしなかったのも、家庭を持つことより、自分のペースを大切にしたいという思いが強かったから。
「おひとりさま」というと寂しいイメージを抱く人もいますが、吉行和子さんはむしろそれを楽しみ、自分らしさを大切にして生きてきました。
「ひとり」であることをポジティブに
一般的に、離婚後は「孤独」や「挫折感」を抱く人も少なくありません。
しかし吉行和子さんはその経験をマイナスと捉えるのではなく、むしろ「ひとりでいることの心地よさ」に気づくきっかけにしました。
この選択が、その後の“結婚しない生き方”“人と暮らさない自由”につながり、90歳まで元気に現役を続ける大きな支えになったのではないでしょうか。
料理も食事も苦手、それでも90歳まで元気！！
吉行和子さんは「料理も食事も嫌い」と公言していました。
「料理は得意じゃないし、毎日ちゃんと作ろうとも思わないわ」
栄養バランスを考えた食生活とはほど遠く、偏食ともいえる生活を送っていたそうです。
それでも大きな持病を抱えることなく、90歳まで元気に過ごせたのは驚きです。
「好きに生きること」が心身を健やかに保つ秘訣だったのかもしれません。
母・吉行あぐりとの関係
吉行和子さんの母は、著名な美容師である吉行あぐりさん。
100歳を超える長寿を全うしたことでも知られています。
母との関係は温かく、またお互いに“マイペースさ”を尊重していたようです。
母からは「自分らしく生きていい」という姿勢を学び、それが吉行和子さんの自由で伸びやかな人生観に繋がっていました。
90歳でも現役を貫いた女優魂
吉行和子さんは直前まで舞台や映像の仕事を続けました。
「年齢で諦めるなんて、もったいない。好きなことはできる限り続けたいの」
吉行和子さんは亡くなる10日ほど前まで舞台や映像の仕事を続けていたそうです。
年齢を理由に立ち止まることなく、自分の好きな仕事を続けていた姿勢は、多くの人に勇気を与えます。
“現役であり続けたい”という想いが、彼女を最後まで若々しく保たせたのかもしれません。
90歳まで現役で女優を続けていたというと、大きな病気を抱えていた可能性は低いのではないでしょうか。
しかし、高齢になると多かれ少なかれ高血圧や心疾患、糖尿病など生活習慣病のリスクを抱えやすく、吉行和子さんも健康管理には十分配慮していたのではないでしょうか。
関係者からは「舞台に立つ姿からは信じられないほど元気だった」と言われています。これは本人の体力を維持する努力の表れとも考えられますね。
女優という職業柄、日々の稽古や舞台本番で自然と運動量が確保されていたことも大きかったはずです。
現代のおひとりさま世代へのヒント
今では、結婚・離婚を経て一人暮らしを選ぶ人や、最初から結婚を選ばない人も増えています。
吉行和子さんは半世紀以上前に、その生き方を先取りしていた存在といえるでしょう。
「結婚に縛られなくても、自分の好きなように生きられる」
その姿勢は、現代のおひとりさま世代にとって大きな励ましになります。
それでも「ひとりで生きて大丈夫かな」「老後が心配」と不安を感じる人も多いでしょう。
吉行和子さんの生き方は、そんな不安を少しだけ吹き飛ばしてくれるようです。
- 誰かと暮らさなくても、充実した人生は送れる。
- 食生活に縛られなくても、好きに生きれば健康を保てることもある。
- 好きな仕事や趣味を続ければ、年齢に関係なく輝ける。
そして今は、働き方そのものも多様化しています。
リモートワーク、副業、フリーランス、パラレルキャリア──“会社に縛られない生き方”が選べる時代。
吉行和子さんが体現した「自分の好きなことを続けながら、自分らしく生きる」スタイルは、現代の働き方にも通じるのです。
まとめ
吉行和子さんが示した「おひとりさまの幸福」という生き方は、一般的な「幸せの形」とは少し違っていました。
結婚や家庭に縛られず、料理や食事にこだわらず、それでも好きな仕事をし続ける。
その結果、90歳まで持病なく、女優として現役で輝き続けたのです。
「自分の好きなように生きる」ことが、心を軽やかにし、長寿や健康にも繋がる。
そして今の時代なら、その生き方を働き方の面でも実現できるチャンスがあります。
吉行和子さんの生き方から、現代を生きる私たちに「人生の選択肢はひとつではない」ということを教えられた気がします。
最後に、長年にわたり私たちに笑顔と感動を届けてくださった吉行和子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
その自由で豊かな生き方は、これからも多くの人々の心に残り続けることでしょう。
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